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奥出雲町を中心に5店舗の薬局を展開する小林正治代表、みなり薬局の薬剤師の西山さんにお話を伺いました。グループのみなり薬局では2016年6月からまめネットの本格運用を始め、運用後約3ヶ月の間に約200人の患者さんからまめネット同意を取得。これからの「薬局・薬剤師のあり方」を見据え、まめネットを積極的に活用していらっしゃいます。

薬による副作用や薬の重複を防ぐ。それが私たち薬剤師の使命です。

小林代表:これまでも私たち薬剤師は責任を持って、患者さんの健康や安全をサポートしてきましたが、2016年4月から「かかりつけ薬剤師制度」がスタートし、私たち薬剤師の患者さんとの関わり方は、これまで以上に責任あるものとなりました。この制度は、患者さんから同意をいただいた薬剤師が、薬の服用・管理をはじめ、健康全般の相談を担当する制度です。高齢の方は特に、いくつもの病院から、多種の薬を処方されているケースがあり、薬の飲み合わせが悪いものを知らずに服用してしまう危険性があります。また、若い方では、薬をもらったものの効果がよく分からず、副作用が心配で、自己判断で服用を止め、症状が悪化する可能性などがあります。そうした状況の中で、かかりつけ薬剤師が患者さんの薬の管理を行い、服用状況を把握し、他の薬との飲み合わせや副作用などの相談、健康全般のアドバイスなどを行います。時には地域の医療機関(病院や他の薬局など)とも連携し、患者さんに最適で安心な薬による治療を受けていただくことがこの制度の目的です。私たちは、地域の患者さんの「かかりつけ薬剤師」になれるよう、準備・努力を進めてきました。その一つが「まめネット」の導入です。

処方箋だけの情報では足りない。
病院と薬局、双方向での情報伝達が、患者さんの「安心」につながる。

「かかりつけ薬剤師制度」が始まって以来、当薬局でも患者さんの同意をいただきながら、「かかりつけ薬剤師」として患者さんからご相談をいただけるようになりました。同意をいただくことで、患者さんに対する強い責任感がどんどん湧いてくる、というのが実情です。

西山さん:病院から持ち込まれる「処方箋だけでは物足りない」ということを痛感しました。これまで、「処方箋」に「患者さんとの会話」や「お薬手帳」などから情報を得ることで、適切な処方を実施してきました。当然、なぜこの症状でこの薬が?といったケースもあります。処方に対する疑義が生じた場合には処方箋を出された病院・医師と連絡を取り、情報共有・確認をしながら処方したり、変更したり中止したりといった判断も行ってきました。

しかし、より安心安全な治療を受けてもらうためにも、これまでのやり方では限界があると感じ、「まめネット」を本格的に運用することになりました。昔は、薬剤師は「処方箋の行間を読み解きなさい」とよく言われたものです。ただ、これは経験や知識からの類推にしか過ぎず、限界があります。患者さんの正確な情報(検査結果など)を得た上で、客観的な判断のもと処方を行うのが正しい姿だと考えます。そうしたことからも、私は「かかりつけ薬剤師」に同意いただくと同時に「まめネットカード」を患者さんに持っていただくことを合わせてお話しさせていただくようにしています。「このカードを持っておくと、かかりつけ医だけでなく他の医療機関に行かれた時も、どんな病気をされて、どんな薬を飲んでいるか等の治療歴が先生や薬剤師さんにすぐわかってもらえるので安心ですよ。島根県内のまめネット参加医療機関で無料で使えるカードなので、よかったら一緒につくられませんか」と説明すると、だいたいの患者さんが「まめネットカード」をつくられます。

最近ではカードを持った患者さんが徐々に増え、処方箋を持っていらっしゃると、まずはまめネットで連携カルテを確認するようにしています。連携カルテを見ることで、患者さんの状態に合わせた適切な判断ができる。これにより、病院とのやりとり、照会や検査結果を取り寄せたりといった煩雑な作業が随分と減りました。なにより、患者さんの「安心・安全」が、まめネットでつながったと実感しています。

すべては、患者さんのために。

小林代表:現在、当薬局でのまめネットの活用は、まだまだ限定的な状態ですが、5店舗すべてでの活用をめざし体制を整備していきたいと考えています。そうすることで、地域の患者さんを点ではなく面でサポートすることができるようになります。松江や出雲といった町外の病院や薬局を利用される患者さんも増えているという状況下では、なおさら患者さんの情報を一元管理するということが「患者さんを守る」ためには必要だと感じています。

医療の役割分担が進む中「より安心で安全な医療提供」を目指す「まめネット」のメリットを患者さんにもっと感じていただくためにも、より参加機関が取り組み、同意患者さんも増えるといいですね。
本当の意味での「かかりつけ薬剤師」として患者さんに選んでいただけるよう、私たちはこれからも積極的にまめネットカードを患者さんに持っていただくよう勧めていきたいと思います。

有限会社 小林薬局 —みなり薬局— Data

〒699-1511
島根県仁多郡奥出雲三成1622-3
TEL 0854-54-9087